ヨーロッパ横断紀行
ランナーの巡礼歩き〜クラクフからジブラルタルまで6700km〜 太田 宏
11.その2 プロローグ
ヨーロッパ紀行としてその2をスタートさせる。上図で青線の分は4200kmの行程がある。その3割は鉄道やバス移動としてその1同様90日以内の旅としてまとめた。1日に移動距離は前回同様32kmと計算している。その概略図は下記のようなもので、今回はパリ郊外にすむキャサリンさんと、ブルターニュのサン・ブリューに住むオーゼさん夫婦を訪ね、ナントから本格的な歩きの旅をスタートさせる。下図では赤いマーカが連続で付いた部分が歩行区間である。
Paris - La Rochelle
La Rochelle-Ferrol
Ferrol-Lisboa
Lisboa-Gibraltar
旅の装備
た、大変なことになった。20kg超過の重装備であることが分かった。
靴など身に着けるものすべての合計である。リュックの重さはだれもが議論するが、このように全装備の重量はあまり聞いたことがない。帽子やサングラスなど身に着けるものを全て計った結果である。
しかも少しずつ毎日のように増えていく。カラビナや紐類、Ziplocなどの微細なものが加わっていくからだ。
まぁ苦渋の決断として何かを捨てていかざるを得ない。現地調達、地産地消の原則で、買っては捨てていくという姿勢が必要か?
山の中や、テントでは最小限の食料は運ばねばならないが。
ともかく装束を最終決定するためにはすこし試行(実際にリュックを担ぎ10kmくらいを歩いてみる。)して、案件をクリアしていこう。
絵の右がGregoryのリュックBaltro、左下がHawkinsのポシェット、左上がオスプレイ30L。
第1案(現在 最有力)・・Gregory75Lザック+Hawkinsのポシェット+杖
ザックに主なすべての荷物が入ることになるため重くなる。スケッチブックが入っているためリュックを下してからでないと取り出せない。
旅にはビバーグ用のテントを持って行く予定であるもまだ一回も外で試していないのだ。そこでフィールドワークを企画した。キャンプ場はどこも満員でうるさい。静かなところはないだろうかと。家から5kmの津久井城址のある城山へテントを張りたいと思い場所を物色しにrunning。なんとてっぺんまでいかずとも途中の鷹射場(350m)で平坦な場所が確保できることが判明。しかも十分な見晴らしがある。ハイキングコースの外れで夜中ここまで来る人はいないであろうと。しかし急斜面の下山中に問題発生。その男坂は傾斜38°〜40°と転げ落ちそうな坂道で鎖場が3つも連なる。鎖を掴もうとして肩を痛めてしまった。片手での鎖というアンバランスな態勢であったのが災い。大事をとってテント実験は中止。玄関前のタタキで実証することにとどめる。
しかし驚いた。X状にポールが真ん中で結合されており、2本とも一番奥のポール受けに固定してしまうと組み立ては至って楽。ほんの5秒で組み立ては完了した。一本を湾曲させ、手前のポール受けに難なく収まり、他方も同様。これは発明品ではないだろうか。中にマットを敷きさえすればたちどころに自分の空間が完成する。2人まで寝れる。
U.L ドームシェルター(2016年新作 D210xW90xH95、シトロンイエロー色)とマット(同 新 Form Pad 150x50) mont-bell
出発10日前
昔からキューリとか馬などと呼ばれ、やせ形で顔長をコンプレックスに感じで今までやってきた。さらに「おっちょこちょい」、「そそっかしい」、「落ち着きがない」という性格でいいところなしの人生。
ふと視線を上げると、目の前に真逆の人間がいる。豊か、丸い、上品、おおらか、落ち着き・・・。小生が喉から手がでそうなものをすべて持っているのである。羨ましいではないか。
仔細に観察すると分かってきたことがある。小生の太らない理由が。栄養を同じように摂ったとしても、こちらはしょっちゅう動き回っているため身体に栄養が付着する機会がなくすべて無駄に流れていく。肉が付く暇が無いのである。
一方、食べる量が3分の一でも、栄養素を無駄にすることなく、じっくり消化し、昼寝の間にすべてが身体に蓄えられていく。
今や、両人とも足が痛くびっこを曳き乍ら歩いている。小生に取ってはこの状態こそ理想ではないだろうか。足が悪くて暴走することができないため自然と行動が緩慢となる。お互いに部位の違いがあるが、「痛!、いたた!」と歩き始めに口にする言葉は同じである。
ゆっくり行動し、昼寝をし、栄養素を100% 身体に取り込むようにして10日間頑張ってみよう。小生の足の痛いのは下記「蜂の襲撃」で書いた。カミさんのは体重を減らさない限り改善しない。僕のいない間相当覚悟のダイエットをしていただこう。あまりに過保護に”育ててきた”ばかりに運動不足を招いたようである。
今はゆっくりと行動できているので、あまり心配はしていない。
蜂の襲撃 2016.7.28(木)16:30
裏庭がジャングルとなっている。しばらく留守にするため、高さ1mくらいに植栽を切りそろえ、草花も強剪定してすっきりさせようと奮闘していた時だ。もうあとはお風呂の室外機周辺のみとなった。
こちらは「くさぎ」が赤い花をつけ大いに茂っている。それを束ねて剪定しようとしたのだ。室外機に蜂の巣がぶら下がっていたなんて思いもしなかった。
な、なんと足長蜂が十数匹、来襲してきた。一応完全防備していたはずであったが、タイツの下の足首が無防備な状態であった。
そこへ全員が集結し毒を注入したからたまらない。痛さで飛び上がった。
見ると直径10cmほどの蜂の巣。ぶんぶんと数百の蜂が群がっていた。こんな危険な状態であったとは夢にも知らず。
家にかけこみ応急手当。シャワーのあと、カミさんが旅行の前ということで大事を取ろうと皮膚科に連れて行ってくれた。泣きさけぶ我が子を医院に連れていくという図式である。夫というよりもう子供である。2日分の薬をもらって帰宅。診察は1分!
そこが今痛いし痒いしもうたまらないのである。この大事な時期にさんざんである。しかし待てよ、まだ仕事が残っている。蜂の巣をやっつけなくてはならない。
怖いもの見たさでしばし観察。ここで驚いた。彼らは夕方の6時には寝てしまうようだ。2階から覗くと、室外機に隠れて見えないが出入りがあまりなく1,2匹飛んでいるだけで閑散とした状況。引っ越しをしたのかもしれない。
もっと近づいて観察する必要がある。また刺されたりして。この駆け引き。動物的な感性が必要である。政治経済文学歴史・・まったく関係がない、蜂と人間の戦いである。
日没を待って重装備にバズーカー砲を構え、蜂の巣に対峙したことは言うまでもない。
語学 フランス語、スペイン語、ポルトガル語
残された時間で、1から1000までの数、1/2,1/4などの分数、第1、第2の序数、月日、曜日を言えるようになりたい。そこで旅で通過する三ヶ国語の対照表を作ってみた。似て非なるものか、同じなのか。まぁよく似ている。
ラテン語が起源なのでよく似るのであろうか。国境を超えるたびに少しずつ変化していくようで面白い。横断的に覚えたほうが効率がよい。この手法で6ヶ国語をマスターしたいものだ。
旅の装備・・
the contents and weight of Carring Baggage(装備の内容、重量)
データベースとしてのお役立ち情報・・お役立ち情報
フランス語/スペイン語/ポルトガル語 対照表・・A comparison table_FR_SP_PT
感謝・・
困難な長旅に出かけますので、妻に少し書置きしておきます(blogから抜粋)
Weaving of wool 編む
長女を身籠っているときのスケッチ。国立で。
Thanks
健康体で病気一つしなかった貴女に感謝します。 いつも進取の精神、創意工夫で生活全般をグレードアップしてくれたおかげで大いに生活をエンジョイできました。 1階の「ブレハッチの間」で弾くピアノが階上までよく響いており毎日豊かな時間を過ごすことができました。 時々無茶をやらかす小生を許し、根気よく耐え忍び、またはよく舵を取り今日まで導いてくれました。 この42年間(1974(S49).3.21-2016(H28).8.10) 本当にありがとうございました。幸せな人生でした。
Thinking1
心優しく争いを好まない性格でしたので友人がたくさんいました。
駅前でやっていた日本語ボランティアの会に「アジアからの留学生に対しておおらかなお母さんのようになってくれる人いませんか」と大学の国際部がコーディーネータを捜しているときも白羽の矢が当たって就任しましたね。
立ち居振る舞いはますます昭和天皇の香淳皇后と似てきたというのがもっぱらの友人からの評価でしたね。ホホホと笑う時や、手を振る時の仕草は、天皇家のものでした。
おそらく典型的なO型人間で、何事にもくよくよすることなくいつもおおらかであったからだと思います。ほっこり、ほんわかしているのです。立ち居振る舞いが大変上品でした。
その上に、機智、英知、頓智に富み毎日爆笑でありました。今日はどんな突っ込みがあるのだろうと。朝起きるのが楽しみでした。
まったく威張らない、欲張らない。という点がまた特に秀でていたのだと思います。常にだれかと競争をしていた小生とは180°違う点でした。猫が好きな貴女は猫のように好き嫌いがはっきりしており、質問への答えはいつも即答。判断が素早く行動も早かったですね。
東奔西走していた小生に代わって、貴女はよく家を切り盛りしてくれました。子供が赤ん坊だったころ、土曜日に開かれるカルチャーセンターへの勉学意欲も、小生の休出出勤のあおりをうけ、行けないまま終わってしまいました。
小生がほとんど家を顧みる余裕がなかったために、たいへんつらい思いをさせてしまったことも多く、3人の子供たちの笑いや涙に寄り添えなかった事を深く反省しています。
To grandchildren
良いおばあちゃんであり続けてください。
Invoice
・庭・・・芝生の雑草はときどき抜き取ってください。
秋になれば柿が沢山熟してきますので食べて下さい。長い柄のついた剪定ばさみは物置に立てかけています。それで枝を挟んでから、ハンドルを操作し幹側をcutすれば綺麗に取れます。
・道路も週1くらいは掃いてください。
・パソコン・・月に一回は2階のパソコンを立ち上げメールソフトを開いてください。メールサーバーが満杯になって新規メールが受け付けられなくなっているかわかりません。その時WiFiがうまく繋がらない場合は、アンテナが出ているUSBの端末(Aterm WL300NU-G)を抜き差しください。ACTランプが激しく点滅し有効になります。
・新聞・・最新2w分くらいを残し、他は処分してください。
・ゴミ出しが大変でしたら、物置にまとめて置き車で運んでください。
・観葉植物「バオバブ」に時々水を遣ってください。巨木にならない程度に。
・週に2回くらい散歩をして下さい。
・食事は30回ゆっくり噛んで咀嚼ください。
・風呂の水は災害時に使えますので、夕方までは溜めておいてください。
・スケッチ・・スケッチブックが70冊ありその中に絵が5千枚以上あります。殆どがblogの原画です。1枚の画用紙に表裏最大で4枚のスケッチ画があります。どなたか希望者がいれば、あげてください。 来訪者に早いもの勝ちで捌いてくださってもいいです。
・持ち物・・リュックやテントやウェアなどアウトドア製品は殆どがそのまま使えますので子供達や孫にあげてください。
・その他・・やり掛けの仕事や引継ぎの件などはパソコンのデスクトップの「ReadMe.txt」に書いてあります。
Last message
もし無時帰国出来たら、今度は一緒に旅にでかけたいね。その時はカバン持ちします。
楽しく次のstepへ歩んで参りましょう。
本文の構成
その2の旅は、タブレット(パリからボルドーまで)とスマホ(ボルドーから)により比較的詳細に現地レポートを書いている。場所ごとの記述は、現地レポートと「回想録」Memoirの2つを時間軸でマージしている。「18:12」という時刻記録や、「3456歩」という歩数カウントの間に、回想録を織り込んだ章立てとなっている。写真やスケッチも時間軸に合わせ織り込んでいる。indexに戻る